コピペの美学

コピー&ペーストを略して「コピペ」と呼ぶことは、いまや誰もが知っている。大学におけるレポートのコピペ問題などのせいか、この言葉からはあまり良いニュアンスが感じられないが、今日はその考えをちょっとだけひっくり返してみたいと…

斎藤環の方法論を精神分析する

斎藤環のものす批評は、一見してとてもスリリングで説得力がある。だが彼の文章を仔細に読めば、そこにはいくつかの大きな陥穽が見られる。この小論では、主に彼の文芸批評に的を絞って、その陥穽の在り処を示したい。 まずは、彼の「診…

ジブリ映画をめぐる個人的覚書

私は『千と千尋の神隠し』を少なくとも十五回は見ているが、見るたびにどうしても涙を堪えられない場面がある。それは、映画が始まって1時間45分頃、千尋とカオナシが湯屋を離れ、ゼニーバの住む家へと電車で移動する場面だ。この場面…

川上未映子『ヘヴン』書評

著者にとって初めての長編小説となる『ヘヴン』は、小説というジャンルの持つ特質に対する強い意識を持った作品であると言えるだろう。斜視である中学生の主人公「僕」は、二ノ宮や百瀬といった級友からいじめを受ける日々を送っているが…

映画時間論序説―Dead timeのゆくえ

映画の中に流れている時間が、実人生における時間とは全く異質なものであるということに、映画を楽しむ一般の観客たちはどれほど敏感なのだろうか。そういった点にこだわりすぎると、フィクションとしての物語を楽しみづらくなる、といっ…