やがて来る〈危機〉の後のドラマ――濱口竜介論
0. 導入 この連載は「『新』時代の映像作家たち」と銘打たれているが、果たして私たちは「新しさ」についてどのくらいのことを知っているだろう。ある芸術作品がそれまでの作品にないなにかを持っているのだとしたら、その「新し…
0. 導入 この連載は「『新』時代の映像作家たち」と銘打たれているが、果たして私たちは「新しさ」についてどのくらいのことを知っているだろう。ある芸術作品がそれまでの作品にないなにかを持っているのだとしたら、その「新し…
濱口竜介にとって、初の商業映画となる『寝ても覚めても』(2018)が9月1日(土)より全国上映された。その名を世に知らしめることになった5時間17分の傑作『ハッピーアワー』(2015)、あるいはその後に撮られた驚嘆に値す…
5時間17分の長さを誇る『ハッピーアワー』は、そのタイトルを裏切ることなく、まさしく幸福にみなぎった時間を提供してくれた。鑑賞前の緊張と不安から、劇場を出た時の外気の寒さや体内の熱気までが、鑑賞中の興奮を外側から包み込ん…