〈疣〉の〈黄金〉への変容 ――アミール・ナデリ『山〈モンテ〉』の観念史/錬金術による解読
「闇にみちた暗い大地は、たえず光りの大地に、 太陽が受胎させてくれる愛の大地になりたいと願う。」 ジュール・ミシュレ『山』 山にまつわる映画は別段珍しいものではない。とりわけ二〇年代後半から三〇年代…
「闇にみちた暗い大地は、たえず光りの大地に、 太陽が受胎させてくれる愛の大地になりたいと願う。」 ジュール・ミシュレ『山』 山にまつわる映画は別段珍しいものではない。とりわけ二〇年代後半から三〇年代…
鎧塚みぞれ(CV: 種﨑敦美)はなぜフグを愛でるのか。それはフグに脚がないからである【図1】。 映画『リズと青い鳥』を監督した山田尚子が脚にこだわりをもつ「作家」であることはファンにとって周知の事実であり、彼女が手が…
『きみの鳥はうたえる』と同日(2018年9月1日)に公開された日本映画『寝ても覚めても』の監督である濱口竜介は、自身が特集された『ユリイカ 』2018年9月号において、「同日公開記念」という建前のもと『きみの鳥はうた…
『ペンギン・ハイウェイ』(2018年、石田祐康監督)は、作中で「科学の子」とも呼ばれる主人公のアオヤマ君による「仮説と検証」のプロセスを描いた映画である。〈海〉、ペンギン、「お姉さん」……彼は様々な不思議な現象を観察し、…
0. 導入 この連載は「『新』時代の映像作家たち」と銘打たれているが、果たして私たちは「新しさ」についてどのくらいのことを知っているだろう。ある芸術作品がそれまでの作品にないなにかを持っているのだとしたら、その「新し…
三宅唱が撮る映画ほど「やくたたず」たちが魅力的に活写される作品はない。最新作『きみの鳥はうたえる』(2018)では、「僕」と「静雄」はバイトをサボっては朝まで酒を飲み、街角のスタンド花を盗む。バイトではろくに仕事もできな…
濱口竜介にとって、初の商業映画となる『寝ても覚めても』(2018)が9月1日(土)より全国上映された。その名を世に知らしめることになった5時間17分の傑作『ハッピーアワー』(2015)、あるいはその後に撮られた驚嘆に値す…
「意味ないって言ったら、この世の中何もかも意味ないでしょ。全部どうでもいいよ。(…)普通の奴らは今こんなことに気づかないで、高校生活を送るでしょ。それで大人になって、ああ、あの頃はよかったって語られるのが今だよ。でも、今…
山中瑶子とは誰なのか。2017年の9月まで、誰も彼女の名前を知らなかった。PFFアワード2017観客賞を受賞した彼女が19歳から20歳にかけて撮った処女作『あみこ』(2017年)は、ベルリン国際映画祭を皮切りに香港・スペ…
映画『ペンギン・ハイウェイ』(石田祐康、2018年)の主要登場人物のひとりである「お姉さん」にはどうやら、ジュース缶や野球ボールをはじめ、あらゆる無機物をペンギンやコウモリ、架空の怪物に変身させる能力が備わっていること…