〜溶解する言葉と音〜 ジム・ジャームッシュ『パターソン』レビュー
詩人からわたしたちへと提供される世界のなかで生きることは、 なんと喜ばしいことだろう ガストン・バシュラール『夢想の詩学』 ジャームッシュは、その長いキャリアにおいて「土地」自体を主人公とし…
詩人からわたしたちへと提供される世界のなかで生きることは、 なんと喜ばしいことだろう ガストン・バシュラール『夢想の詩学』 ジャームッシュは、その長いキャリアにおいて「土地」自体を主人公とし…
…私はアクティビストでもないし、政治的な映像作家でもありません。東北タイでどういったことが起こったかについては多くの研究者が記述しているので、私は同じ方法を取らないだけです。私が試みているのは「感覚(feeling)」そ…
食事をして映画でも見ようと思った。さっきダウンタウンで、 庇に『パルプ・フィクション』のタイトルを掲げている館を見かけた。 食指が動くのは、あれだけだった。 エドワード・バンカー『ドッグ・イート・ドッグ』(199…
エジプトのピラミッドはその大きさで人々を圧倒し、ドバイのブルジュ・ハリファはその高さで人々を圧倒し、フロリダのディズニー・ワールドはその広さで人々を圧倒する。同様に、そのシンプルさで人々を圧倒するものがある。それが人々…
「人は後ろ向きに未来へ入っていく」 ポール・ヴァレリー 「この世のものは後ろ向きに見るとき、はじめて真に見える」 バルタザール・グラシアン プレリュード:秘数「3」から円環の魔法へ この『ラ・ラ・ランド』という魔術的な…
アンジェイ・ワイダは「抵抗」の作家である。 これまでワイダを語る誰もが、それ以上の何かを言ったことはなかった。 あらためて考えてみよう。では、この作家はいったい何に「抵抗」していたというのか? 通説によれば、それは…
2017年1月に出版された、野中モモによる『デヴィッド・ボウイ —変幻するカルト・スター』は簡潔な筆致で、デヴィッド・ボウイにまつわる「出来事」を析出させています。ともすれば「わたしとデヴィッド・ボウイ」というような内…
いい作家はいつも同じ場所を、質と大きさの違う槌で叩く。音が変る。釘を大切にする。同じ槌ばかりだと結局釘の頭を潰すだけで少しも打込めない。ただうつろな音がするばかりだ。 ジャン・コクトー「職業の秘密」*1 「どう、十分硬く…
篠山紀信が好きだ🌺。キシンといえば、『オレレ・オララ』と『決闘写真論』である。古い作品ばかりでは、キシンが苦虫をかみつぶすので『KISHIN meets ART』(彫刻の森美術館)を挙げておく。最新作と…
文学でない、小説のために 文学や小説を語る行為、それ自体がすでにノスタルジーに類する時代。そんな自覚から、はじめなければならない。少なくとも、ここで話題にする小説家・松波太郎の最近作『月刊「小説」』(2016年)は、…