世界は写真の中で逆流する
店のウェイターに食べ終わった皿を下げてもらうと、彼女はおもむろにパソコンを鞄から取り出し、テーブルの上で開いた。そして、淡々と自分の撮った写真作品を私に見せ始めた。 彼女は特に作品を解説するようなことはせず、ただ…
店のウェイターに食べ終わった皿を下げてもらうと、彼女はおもむろにパソコンを鞄から取り出し、テーブルの上で開いた。そして、淡々と自分の撮った写真作品を私に見せ始めた。 彼女は特に作品を解説するようなことはせず、ただ…
1.FGOについて 魔術だけでは見えない世界、科学だけでは計れない世界を観測し、人類の決定的な絶滅を防ぐために成立された人理継続保障機関・カルデア――そこでは100年後の未来まで人類史の安全を保証していたにもか…
人はなぜ映画を見るのか。そこに映し出されている自分の片割れと出会うためである。その片割れは、ときとして人ならざる姿をとって我々の前にあらわれることがある。 映画『君の名は。』(2016年)が分裂して隕石と化した彗星核…
トーマス・ルフの展示に行くと、「写真を見る」のでなく、「見る写真」に立ち会うという現象に出くわす。彼の作品は、写真のメディア性について言及するものばかりなので、トーマス・ルフという作家が、写真をどのように捉えているか、…
『トリスタンとイゾルデ』のおよそ60年後に作曲され、ワーグナーには見られない軽妙さを備えたリヒャルト・シュトラウスの『ナクソス島のアリアドネ』(以下『アリアドネ』)は、ややいびつな構成をしている。2部からなるこの作品、…
東京ではこの夏から秋にかけて、複数のオペラ演目を二つの演出で見ることができた。舞台芸術のおもしろさの一つは、演出という営みを介して、同じ作品を全く違った光のもとに発見し直す瞬間にある。特に、東京二期会とメトロポリタン歌…
時刻は午後10時をお知らせします。 東京の夜景は相も変わらず綺麗だとタクシーの窓の外を見て思う。タクシーで移動することさえ特別だと感じていた自分はもういない。しかしそれを想起させるような景色に一気に顔が熱くなる。“若…
80年代、シンセサイザーサウンドが全盛の頃、イギリスの荒くれた港湾都市・マンチェスター出身のインディーズバンドが、シンプルなギターサウンドで音楽シーンに衝撃を与えた。ザ・スミス。多くの人間にとって、その名前は神聖ささえ…
編集委員T: 文学フリマにご来場のみなさま、この度は『ヱクリコ』を手に取っていただきありがとうございます。『ヱクリコ』とは総合批評同人誌『ヱクリヲ』のチラシでありながら、新規文章が読めて『ヱクリヲ』のことを知ってもら…
2016年11月23日(もう本日となってしまった)に発行される、『ヱクリヲvol.5』に掲載されている「日本のゲーム批評目録from 1984 to 2016」のweb記事版をここに公開する。(2016年11月現在) も…