愛と死と芸術の物語 (前編)–––東京二期会&メトロポリタン歌劇場ライブビューイング『トリスタンとイゾルデ』
東京ではこの夏から秋にかけて、複数のオペラ演目を二つの演出で見ることができた。舞台芸術のおもしろさの一つは、演出という営みを介して、同じ作品を全く違った光のもとに発見し直す瞬間にある。特に、東京二期会とメトロポリタン歌…
東京ではこの夏から秋にかけて、複数のオペラ演目を二つの演出で見ることができた。舞台芸術のおもしろさの一つは、演出という営みを介して、同じ作品を全く違った光のもとに発見し直す瞬間にある。特に、東京二期会とメトロポリタン歌…
時刻は午後10時をお知らせします。 東京の夜景は相も変わらず綺麗だとタクシーの窓の外を見て思う。タクシーで移動することさえ特別だと感じていた自分はもういない。しかしそれを想起させるような景色に一気に顔が熱くなる。“若…
80年代、シンセサイザーサウンドが全盛の頃、イギリスの荒くれた港湾都市・マンチェスター出身のインディーズバンドが、シンプルなギターサウンドで音楽シーンに衝撃を与えた。ザ・スミス。多くの人間にとって、その名前は神聖ささえ…
編集委員T: 文学フリマにご来場のみなさま、この度は『ヱクリコ』を手に取っていただきありがとうございます。『ヱクリコ』とは総合批評同人誌『ヱクリヲ』のチラシでありながら、新規文章が読めて『ヱクリヲ』のことを知ってもら…
2016年11月23日(もう本日となってしまった)に発行される、『ヱクリヲvol.5』に掲載されている「日本のゲーム批評目録from 1984 to 2016」のweb記事版をここに公開する。(2016年11月現在) も…
私は今、新宿をある程度一望できる場所に立っている。そこから新宿を見渡すと、この街がその途方もない欲望のもとに拡大してきた時代の流れに思いを馳せてしまう。本音を言えば、新宿というのは美しい街ではない。そこにはランドマーク…
いわゆる画用紙大の紙から、壁一面、あるいは床一面を埋めつくすほど巨大な紙まで、大きさを異にする様々な紙には、どれも細かく皺が寄っている。一度くしゃくしゃに丸めて、再び元に戻した際にできた皺のようだ。そして、その皺の線に沿…
聖地巡礼――アニメの舞台となったとされる場所を巡る行為――の様子をブログやニュースなどで見て、あくまでスタンプラリーのようなものだと思っている人はいないだろうか。自分がキャラクターの位置に重なるカットを撮り、ひとつひと…
Hans Hollein, Monument for the Victims of the Holocaust, 1967. 昔の話。幼稚園の建物のある区画に、ダ・ヴィンチの『モナリザ』が掛けられていた。こ…
レオス・カラックスの映画について考え続けた結果、必然的にそれは、彼の映画を形成する最も重要な、走ること、愛すること、そして映画についての思考になった。 まず、走ること。映画において、走ることは2つの運動を意味している…