特別対談:牧野貴×渡邊琢磨 映像音響の前線へ


 

牧野 貴(映像作家)

一九七八年東京都生まれ。神奈川県在住。

二〇〇一年に日本大学芸術学部映画学科撮影・録音コース卒業後に渡英、ブラザーズ・クエイのアトリエコニンクを訪問し、映像、照明、音楽に関しての示唆を受ける。その後、カラーリストとして、多くの劇映画やCF、ミュージックビデオ等の色彩を担当し、フィルム及びビデオに関する技術を高めながら、二〇〇四年より自身の作品上映を開始した。自然現象や人間、街など既成のオブジェクトを、フィルムやビデオなど様々なフォーマットで撮影、編集段階において重層化して構築し、その無限に広がり続けるような極めて有機的で想像的な牧野の映像作品は、映画界、美術界共に国際的に高く評価されている。現在は日本を拠点に、映画、音楽、インスタレーション、オーディオビジュアルパフォーマンスなどを世界各地で発表している。二〇一一年にはロッテルダム国際映画祭短編部門でグランプリにあたるタイガーアワードを受賞した他、ハンブルグ国際短編映画祭、モスクワ国際実験映画祭、25FPSクロアチア国際実験映画祭、VIDEOEX Festivalなどでグランプリを獲得 (全て日本人初) するなど、国際映画祭での受賞歴は幾多にも及ぶ。また、これまで、映画作品は世界百二十都市以上で上映されており、近年では、ドクメンタ14 (アテネ)、サンフランシスコMOMA、MOMAPS1、ニューミュージアム、ニューヨーク映画祭 (アメリカ)、ホワイトチャペルギャラリー (イギリス)、韓国映像資料院 (韓国)、オーストリア映画博物館 (ウィーン)、BFI IMAX シアター (イギリス)、アンソロジーフィルムアーカイブス(アメリカ) などで上映が行われた。


渡邊 琢磨(音楽家)

一九七五年、宮城県仙台市出身。高校卒業後、米バークリー音楽大学へ留学。大学中退後ニューヨークに渡り、キップ・ハンラハンと共同作業でレコーディング等を行う。同レコーディングには映像作家ジョナス・メカスらが参加。〇七年、デヴィッド・シルヴィアンのワールドツアー一八カ国三十公演にバンドメンバーとして参加。一四年、自身が主宰する弦楽アンサンブルを結成。一九年、映画『ECTO』監督。今夏、渡邊が手掛けた映画音楽の断片を素に新曲を作る企画盤(ミニアルバム)をリリース予定。同作には仏、米の音楽家、フェリシア・アトキンソン、アキラ・ラブレーらが参加。https://www.takumawatanabe.com/