夢より深い覚醒を──五十嵐耕平論

 犬ほど映画にとって不気味な存在はいない。  撮影現場でどれだけ人間が必死に物語を演じていようと、虚構を解さない犬にとってそこは日常と地続きの現実でしかない。その場にないはずのカメラを役者が見つめることは、映画では「第四…