救済の技術としての言語――ケン・リュウ試論:『ヱクリヲ vol.8』「言葉の技術としてのSF」
悪しき漢字 アメリカのSF作家であるテッド・チャンは「漢字」というものを嫌っている。彼は表意文字としての漢字をまったく非効率的なコミュニケーションとして非難しており、中国の近代化を妨げ、伝統への固執を生み出している「悪い…
悪しき漢字 アメリカのSF作家であるテッド・チャンは「漢字」というものを嫌っている。彼は表意文字としての漢字をまったく非効率的なコミュニケーションとして非難しており、中国の近代化を妨げ、伝統への固執を生み出している「悪い…
はじめに ドキュメンタリー映画『息の跡』(小森はるか監督、2016年)には、次のような印象的なシーンがある。東日本大震災の被災地(岩手県陸前高田市)で種苗店を営む佐藤貞一さんが、特許を取得した特殊な栽培技術について図面…
『ヱクリヲvol.10』刊行イベント「一〇年代ポピュラー文化のアニマ」特別寄稿 はじめに バーチャルYouTuberとは何であり、それはどのような魅力を持つのか。「オブジェクト指向VTube…
Joanna Demers, Drone and Apocalypse: An Exhibit Catalog for the End of the World (Zero Books, 2015). マ…
Matthew Herbert, The Music: A Novel Through Sound (5 April 2018, Unbound) Matthew Herbertは90年代からDoctor…
笑いとはなにか。極言するならば、「線を引く」行為である。 たとえば、漫才などを思い浮かべてみよう。以前筆者が参加したライブから例をあげると、そこでは魚を「溺れ死にさせる」と水に投げ込む男のネタや、イヌイットの家族にク…
「食べる」ことの美的感覚 「食べる」ことについて考えれば考えるほど、深い沼の中にはまっていくような気がする。 「食べる」という営みが一種の関数であるとするならば、それは生理、嗜好、環境、その他あらゆる変数によって…
「闇にみちた暗い大地は、たえず光りの大地に、 太陽が受胎させてくれる愛の大地になりたいと願う。」 ジュール・ミシュレ『山』 山にまつわる映画は別段珍しいものではない。とりわけ二〇年代後半から三〇年代…
G Douglas Barrett, After Sound: Toward a Critical Music(Bloomsbury, 2016年) 「絶対音楽」は、言葉から解放された「響きそのもの」を称揚…
鎧塚みぞれ(CV: 種﨑敦美)はなぜフグを愛でるのか。それはフグに脚がないからである【図1】。 映画『リズと青い鳥』を監督した山田尚子が脚にこだわりをもつ「作家」であることはファンにとって周知の事実であり、彼女が手が…