「平岡正明論」の再設定――大谷能生×後藤護×吉田雅史 鼎談
大谷能生による『平岡正明論』が、ele-king booksより5月30日に刊行された。大谷能生にとっては『ジャズと自由は手をとって(地獄に)行く』以来の、5年ぶりの単著になる。同書は、ジャズのみならず政治思想、第三世…
大谷能生による『平岡正明論』が、ele-king booksより5月30日に刊行された。大谷能生にとっては『ジャズと自由は手をとって(地獄に)行く』以来の、5年ぶりの単著になる。同書は、ジャズのみならず政治思想、第三世…
0、導入 今回取り上げる「深田晃司」で、連載「新時代の映像作家たち」が取り扱う作家は4人目になる。必ずしも明確な規定があるわけではないが、ここまで主に1980年以降生まれの日本の映像作家を取り扱ってきた。今回は少し趣旨…
ニュー・ジャーマンシネマの巨匠フォルカー・シュレンドルフの新作『男と女、モントーク岬で』(2017)に描かれるのは、裕福な中年作家のロマンチックなラブストーリーだ。そう聞いて、ありふれたテーマにげんなりした方はもう少し…
遠藤麻衣子という才能の前で私たちは言葉を失う。彼女の作品を見た者は高速で移り変わるヴィヴィッドなイメージと、声とノイズが混濁した音の奔流に圧倒されるだろう。それは鑑賞者に感じることを求め、「読む」ことを恐れさせる。彼女…
『TECHNOLOGY』のスチール写真に、女の顔が水の上に浮かんだ、幻想的な一枚がある――まるで「斬首」の光景のような【図1】。このニンフのごとき女がたゆたう水のほとりで、若い男がギターを爪弾き、歌っている。このアダム…
死者を悼むとはどのようなことか、最近よく考える。その直接的な契機については省くが、実際のところそれは、具体的な「正解」があるというわけではなく、考えられる形態のなかでの選択――自身のなかでの落としどころを見つける作業に…
犬ほど映画にとって不気味な存在はいない。 撮影現場でどれだけ人間が必死に物語を演じていようと、虚構を解さない犬にとってそこは日常と地続きの現実でしかない。その場にないはずのカメラを役者が見つめることは、映画では「第四…
香港旅行の予習としてウォン・カーウァイの映画を見返し、それが自分を香港に誘った大きな要因だったにもかかわらず、ほとんど役に立たないことに気づいて唖然としたことがある。いくら画面を見つめても、どういうわけか香港の街並みに…
トリレンマ【trilemma】 ① 三つの選言肢をもつものをいう。三刀論法 ②三者択一を迫られて窮地に追い込まれること 1.第一の三角形=トリレンマ 「努力は必ず報われる」という命題から本論を始めよう。 AKB48の…
「私はきっと忘れない、あの情熱の炎を」 ミア・ドーラン「夢みる道化」 「願い焦がれることが多くの人々を愚者にする」 オウィディウス『エロイード』 「青」の観念史――ロマンティック・ブルーを中心に 「青は魂…