彼らは夜に生きる——『きみの鳥はうたえる』論
『きみの鳥はうたえる』と同日(2018年9月1日)に公開された日本映画『寝ても覚めても』の監督である濱口竜介は、自身が特集された『ユリイカ 』2018年9月号において、「同日公開記念」という建前のもと『きみの鳥はうた…
『きみの鳥はうたえる』と同日(2018年9月1日)に公開された日本映画『寝ても覚めても』の監督である濱口竜介は、自身が特集された『ユリイカ 』2018年9月号において、「同日公開記念」という建前のもと『きみの鳥はうた…
『ペンギン・ハイウェイ』(2018年、石田祐康監督)は、作中で「科学の子」とも呼ばれる主人公のアオヤマ君による「仮説と検証」のプロセスを描いた映画である。〈海〉、ペンギン、「お姉さん」……彼は様々な不思議な現象を観察し、…
0. 導入 この連載は「『新』時代の映像作家たち」と銘打たれているが、果たして私たちは「新しさ」についてどのくらいのことを知っているだろう。ある芸術作品がそれまでの作品にないなにかを持っているのだとしたら、その「新し…
Jemes Braxton Peterson “The Hip-Hop Underground and African American Culture: Beneath the Surface”(Palgrave Ma…
大谷能生による『平岡正明論』が、ele-king booksより5月30日に刊行された。大谷能生にとっては『ジャズと自由は手をとって(地獄に)行く』以来の、5年ぶりの単著になる。同書は、ジャズのみならず政治思想、第三世…
0、導入 今回取り上げる「深田晃司」で、連載「新時代の映像作家たち」が取り扱う作家は4人目になる。必ずしも明確な規定があるわけではないが、ここまで主に1980年以降生まれの日本の映像作家を取り扱ってきた。今回は少し趣旨…
ニュー・ジャーマンシネマの巨匠フォルカー・シュレンドルフの新作『男と女、モントーク岬で』(2017)に描かれるのは、裕福な中年作家のロマンチックなラブストーリーだ。そう聞いて、ありふれたテーマにげんなりした方はもう少し…
遠藤麻衣子という才能の前で私たちは言葉を失う。彼女の作品を見た者は高速で移り変わるヴィヴィッドなイメージと、声とノイズが混濁した音の奔流に圧倒されるだろう。それは鑑賞者に感じることを求め、「読む」ことを恐れさせる。彼女…
『TECHNOLOGY』のスチール写真に、女の顔が水の上に浮かんだ、幻想的な一枚がある――まるで「斬首」の光景のような【図1】。このニンフのごとき女がたゆたう水のほとりで、若い男がギターを爪弾き、歌っている。このアダム…
死者を悼むとはどのようなことか、最近よく考える。その直接的な契機については省くが、実際のところそれは、具体的な「正解」があるというわけではなく、考えられる形態のなかでの選択――自身のなかでの落としどころを見つける作業に…